フィルムカメラのブログ

一冊の本を書くように

原風景を思い出す

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北海道に帰ってきてから「原風景」というものを意識するようになった。
3カ月くらい実家にお邪魔させてもらっていて、それまで自分が想像していた親の姿も気付けばシワが増えたよなとふと思うときがあった、というのも多少関係しているのかもしれない。

僕が時々頭に浮かぶ原風景は、森の中にある。
まだ小学生くらいの頃、実家の裏にある嵐山に一人で上り、頂上まで行って旭川の街を見下ろそうと思ったのだ。

急な坂道を登りながら、フキの間から蛇が出てきたら怖いな。ここに熊なんていないよな。あの花はたしかカタクリの花だと教わった。笹の葉で舟ってどうやって作るんだっけ。確かこれで笛も作れたよな。

自分で登り始めたのに、その心細さを紛らわす為にずっと下を見ながらそんなことを考えていたとき、突然カッコウの鳴き声が聴こえ、僕は咄嗟に顔を上げた。
するとそこには沢山の木々が僕の周りを囲っていて、次の瞬間強い風が吹き、カッコウの声も聴こえなくなった。

そして森全体が、風の音と共にざざざざ、ざざざざと蠢いている。

そこで僕の記憶は元の位置に戻る。

きっと僕はその後、頂上に行ったんだと思う。僕は「ちょっとこわいぼうけん」が好きだったからだ。
でも展望台から見た旭川の風景に、きっと何も感じなかったはずだ。

そんなことよりも、「自分一人」というあの感覚がずっと僕の奥深くに眠っている。
それは「自分は一人」ではなく、「自分一人」という感覚。
孤独感、淋しさというよりも、「自分一人でも生きていけるように」とそこで何かを感じたんじゃないかなと思い、その感覚を磨く為に僕は今も一人でふらふらと散歩したりしているのかな。