フィルムカメラのブログ

一冊の本を書くように

「お嬢さん、何を飲まれますか?」

紅茶を飲む女性 フィルム写真

「お嬢さん、何を飲まれますか?」と、僕は時々しょうもないショートコントをふっかける。
「え、私がいれるよ」
「あはは、困ったお嬢さんだこと。いえいえ、何をおっしゃいますやら。お客さまはどうぞ座っていてくださいな。紅茶にしましょうか? それともコーヒーでしょうか?」
「じゃ、じゃあ、お紅茶を頂こうかしら」
「御意に。かしこまりました」と恭しく頭を下げる。

そしてキッチンに向かい、お湯を沸かして安っすいティーパックをジップロックから出してカップに入れ、キッチンタイマーで時間を測る。

その間、じーっとさやはこちらを見ていた。

「出来上がりました。どうぞお召し上がりください。ご一緒にお茶菓子などはいかがでしょう?」

「ううん、あのそういうノリはもう大丈夫なんだけどさ、山ちゃんちょっと訊いて良い?」

「え?なに?」

「いっつもそうやってティーパックをジップロックに入れてるの?」

「うん、安っすいやつだけどさ、一回開けちゃったから香りが逃げるかなと思って」

「それと、タイマーで時間も測るの?」

「まぁその、やっぱりさ、製作者側は『この紅茶は1分半が一番おいしいぞ』って示してくれてるんで、そのー、なんだろ、その製作者の意図を受け取って飲みたいじゃない」

「いつも?」

「いや、一人暮らしを始めてから」

「これさ、進藤さんと陽子さんに言っていい?」

「え?なんで?」

「だって山ちゃん、色々ガサツなのにさ、紅茶にだけは凄いこだわってる感じが面白いんだもん」

「や、やめてよ。俺、あの二人にはワイルドな男だと思われていたいもん。やだなにそれ、恥ずかしい」

「いや、進藤さんたちも『ヤマは繊細だからな』って言ってたからもう無理だよ」

「ま、まさか」

「言ってやろー」

「や、やめれー!」

このように、最近ちょいちょいイジられるようになってきている。
でも僕は気にしない。

なぜなら僕は、根っからのワイルド野郎だからだ。